去年一年遊び暮らしたのでさすがに少し借金ができてしまった。
でも、働きだしたのでこれからはまとまった金が入るので安心だ。
ADの仕事のひと月目の給料が入った。
嬉しい。
三井住友に振り込まれる。
己はみずほがメインバンクなので、みずほに移すことにする。
みずほに移しておけばネットバンクが使えるので便利だ。
土曜に金が必要となった。
コンビニのATMまで行ってみたら105円の手数料が掛かることが分かった。
手数料はやはり馬鹿馬鹿しい。
十分ほど歩いて三井住友直営のATMに行き、そこで全額おろした。
210円の手数料をとられた。
明細書発行の確認はしなくていいから、手数料が掛かることの確認をして欲しいものだ。
悔しさは金額に単純比例しないことを知った。
翌々日の夜、みずほのATMに行った。
重い手荷物を両手に抱えてひいひい言いながら。
やっと振り替えられるゾ。
荷物をおろし、給料全額を鞄から出し、機械と対峙した。
借金もいくらか返せるネ。
だが、夜のATMは引き出しはできても、振り込みはできないのだ。
「ちっ」と舌打ちをして、振り返り、腰を入れ、重い荷物を両手にもち、ATMを出て行った。
給料全額を機械の上に置いたまま。
気付いたのは翌朝。
クレジットカードを落としても、使用を止めない己がさすがに警察とみずへに電話した。
源泉徴収と精算を済ませた十四万は今日も還ってこない。
スゴイことに気付いた。
一千億稼ぐ世界的富豪が豪快に997億とんで、582万3600円とか落としたとしよう!
でも、2億9417万400円残ってるじゃない!
やってけるでしょ。
己はたった十四万しか落としてないが、それは今月の給料全額なのだ。
全額だよ?
スゴクない?
どんな金持ちも給料がそのまま手元に入らなければ生活は苦しいのだ!
なんかスゴイ。
働いたら借金が増えたという泣き笑い的な感じでステキでした。
でも、こっからが己はスゴイ!と自分で自分を持ち上げる。
亡くしたことに気付く前は、給料が入ったので久しぶりにバーン!と外食をしようと思っていたのよ。
頑張った自分にご褒美ってな人生のささやかな悦びッ!
そうだ!メーヤウの激辛カレーを食おう。景気づけにドバッと汗を流そう!そうしよう!
そして、金を失ったことを気付く。
はい、気付いた!
己は、20分間、街中で(ATMの前で)座り込んで落ち込んだ。いいだろ?全額なんだ。それくらい落ち込ませてくれ。
先に借金だけでも返しておけばよかった、とか
ATMが夜に預け入れさせてくれないからいけないんだ、とか
うじうじ考えたよ。
そしてすっくと立ち上がると「これで帳尻が合う」とつぶやき、生涯初めてサマージャンボを買った。
200円以上の宝くじは買わない主義なのに!
宝くじ売り場のラジオで所さんが三億狙いは連番で!と勧めてくれたので連番で十枚買った。
金を亡くしたからと言って守りに入ってはいけない!
…と思うのだ。ワタシはッ!
そこで更に攻めるのじゃ!!
攻めたね、己は。
そしてメーヤウも喰った!ガンガン汗流した。
己ってスゲェとぷち思った。
でも、福本伸行さんに言わせると、負けが込んだときこそ四暗刻などいけそう(負けが込んでるときに限っていけそう)でもいかず、次の流れを待ったほうがいいということになるだろうか。
だが、日本で唯一十年連続、長者番付に入っている斎藤ひとりさんに言わせると、ちょっと行動してちょっと悪いことがおきたからってそれをやめない。まずはウミがでてから、事態は好転するのだからということになるだろうか。
どっちも正解。選ぶのは己。
攻めたね!己は。うふふふ。
なんか侠のロマンよね。 |