03.01.30
拓くんと一緒

 
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己の同居人“釈迦力小僧”岩下均の弟、拓(ひらく)

現在、中国に留学しているが帰国。
旧正月で冬休みも日本より遅いのだ。

昨夜、帰国の挨拶がてら来城。
殊勝な奴だ。(邪険にしたけど)

そのまま泊まって眠そうにしてるところを叩き起こして
「今日は演劇を観に行こう」

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よっしゃ征くぞぉぉぉぉぉぉぉ

昼間ッから血気盛ん。

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忘れ物を取りに帰る。

ストレートに出発できる確率は三割を切る。

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大音量で音楽が流れっぱなしになっていることは言うまでもない。

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気を取り直して再出発



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昼の自転車漕ぎは楽しい。

二人で大声で歌を歌いながら走る。
今日のテーマはoffspring/all I want

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王子までチャリ。

こちらで演劇を観る。

今日の昼だけなんと半額なのだ。

自由人はこういうものにすぐ対応できる。
(金ないけど)

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まぁ、よかったね。

“イヴォンヌの香り”島田裕介もいたので三人で

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佐藤ビルに行き、LANを借りる。

誰かさんからメールがなく、静かに凹む。

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地図を調べてる。

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拓は家族で帰国パーティーがあるらしい。

岩下家は非常に温かい家族なのだ。

己も友達との約束があるので王子から南北線で青山へ。

後で王子で会おうと拓に約束。

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最近、青山づいてる。

自分の馴染みの土地が増えるのはうれしい。

二年ぶりくらいに友達と再会。

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お水の話を聞かされるのだった。

でも、この水はマジですごい。

己はミネラルウォータを常用してるので分かる。

多分、どれよりもすごい。

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拓との約束があるのでとんぼ返り。

急げ。

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なぜ、急いでるのかというと
岩下家のおばあちゃんちに行こうと思っていたからだ。

おばあちゃんは寝るのが早いでしょう。

でも、拓と再会すると、
「十一時まで起きてますね」とのこと。

なぜ、おばあちゃんに会うのかというと…

実は、三年前のハロウィンで

おばあちゃんに着物の帯を借りて以来、

ずぅぅぅぅぅぅぅっと返してなかったのだ。

いや、ホント申し訳ない。反省。

出発のとき、取りに帰ったのも帯だったのだ。

「あら、多苗さんまで。お久しぶり。」

「お久しぶりです。今日はちょっとおばあちゃんに返さなくちゃいけないものがあって」

拓にも言ってない。

拓はなんで己がおばあちゃんに
会いたがっていたのかわかっていないだろう。

二人が見守る中、ごそごそと出して

「帯を。すいません。ずっと返してませんで。」

「あら、洗濯までして頂いて。悪いですね。」

おばあちゃんにやっと返した。

少し立ち話。

「もう帰るの?こんなに寒いのに」

「いや、帯を返しにきただけなので」

「あがっていかれたらどうですか?お茶をいれますよ。」

「いや、返しに来ただけなんですよ。ホント。すみませんでした。」

「お茶だけですから。あがっていらして。」

「いやいや。」

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結局お邪魔。

岩下おばあちゃんはホントいい人なんです。

お世話なりまくり。

拓はトイレに行ってしまって、リビングでおばあちゃんと己と二人。

テーブルについて一息つくと

「お父さん(おじいちゃん)もう寝ちゃいましてね」

「ああ、そうですか。静かにしてないと。」

「ビールがいいですか?」

「いや!おばあちゃん。お茶っておっしゃったじゃないですか。」

「あら。ビールじゃいけないですか。」

「いや、いつもならいいんですけど己今ダイエットしてまして、酒はなるべく摂らないようにしてるんですよ。」

「まぁ、ダイエットしてるんですか?」

「ええ。」

「そうなんですか…。でも、そんなほっそりしてるのに。」

「いやいや、おなか出てますからね。」

「そう…。ビール好きでいらっしゃるのに。」

「そうですね。でも、まぁ今日はいいですよ。ありがとうございます。お気になさらず。」

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晩飯いらずだにゃ〜

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「みそ汁できましたよ」

「笑。ホント、おばあちゃん、もうかまわんでください。」

拓は横で爆笑してる。

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おばあちゃんが少し写ってる。

隣で上海の本を広げているのが拓。

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拓と自転車で帰城。

昼とはうってかわって地獄。


「おばあちゃんには五回断らないとダメですよ。」

「己もなぁ、出てくるものは受けちゃうからなぁ。」

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部屋。

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速攻、パソコン立ち上げる男。