日々是好日※1という映画をアマプラで観た。
 
 
 
樹木希林さんが出演している。
茶道を習うとともに人生が進むというお話。
アマプラ評価、四つ星。
 
己は映画に関しては世評を頼りにしていて
四つ星半未満の作品は観ないことにしているが、
今回は勘が働き観ることにした。
 
 
 
さて。
 
コロナ元年3月に実家へ帰って以来、己に起きた大変化は、
家事をするようになったということだ。
 
 
 
例によって、やらないと母がウルサイから、
という外部要因に依存しての変化ではある。
 
 
 
どんな家事をするようになったかご披露したい。
 
 
 
まず、1日3回歯みがきをするようになった。
 
 
 
わかってる!
 
 
ツッコミ所は盛りだくさんだが、これソウトウ大事な変化なんだってば。
 
 
 
己は、30後半まで歯みがきは平均10日に1回くらいの人だった。
 
 
 
友から「しないと気持ち悪くね?」と言われていたが、
なにが気持ち悪いのか分からなかった。
「こいつも、普段はメチャクチャしながらも結局歯みがきする組かよ」と思っていた。
 
 
 
電動歯ブラシのお陰でやっと1日1回になった己が、今では3回!奇跡すぎる。
 
 
 
家事というか、生活の習慣改善という話かな。 
 
 
起床から順に見ていくと、
カーテンを開けてタッセルで巻く、布団をあげる、着替える、外で運動1時間、朝風呂、風呂の水滴をタオルで拭き取ってから換気扇、風呂のドアは閉めるが洗面所のドアは閉めない、朝ごはんはテレビやスマホはしない、茶碗を流しへ、歯みがき、パナソニックナノケアで肌を温め、POLA POLISSIMA、マツキヨの化粧水、uno VITAL CREAM PREFECTION(夜はエバメール)の順でつける、母の趣味(育毛剤をつけてブラシで叩く)につきあう、洗濯物があがるので一枚一枚パンパン伸ばしたあとで干す、2日に1回掃除機をかける。
一歩でも外出したらコロナ対策で手洗いうがい。
朝・昼の食後に皿洗いをする。(夜は母)
 
 
 
これは全てひとり暮らしの時はやっていなかったことだ。
 
 
 
まず起きてカーテン開けても、タッセルには巻かない。布団は万年、畳みもしない、1日着替えないことも、茶碗も流しに持っていきすらしなかった、、
 
 
 
わかってる。

3才にも劣るダメ人間ファイナリストである。
 
 
 
なんでこんな人物クリーチャーが世に放たれてしまったか。
 
 
 
印象的なエピソードがある。
 
 
 
10年以上前、たまたま帰省していた己との話の流れで急遽友人が2人、東京と神奈川から遊びに来てくれることになった。
 
 
 
己が18まで生まれ育った町のデニーズ(柏16号店)に、26からの友人2名と共に飯を食べ、コーヒーを8杯くらいお代わりしながら談笑している、(ちな、このデニーズは小3の時に家族3人で食べて以来特にうまくないので2度と来てない)その時空(-空)を超えた無量に感無量していると、
 
 
 
ふと、閃いた。
 
 
 
更にこいつら実家に招いちゃう?
 
 
 
時すでに若気の午前零時を過ぎていたが3人で実家に詣でた。
 
 
両親は当然寝ている。
 
なに己の部屋は玄関ストレートだから問題ない。
 
 
 
忍び足で己の部屋に入って灯りをつけて部屋を見回し、
3人なぜか正座で座した瞬間、
2名が顔を見合わせて『あーーーーーーー』と
無声音で合点した。
 
 
 
『なにが?』
 
『だから、(多苗)はそうなんだね。』
 
 
 
後になって分かったのはつまり、
部屋が異常に片付けられて美しかった。
そこから聡い2名は瞬間的に察した。
 
 
 
親が全てなんでもやってくれてしまうから、(多苗)は自分でなにもしなくなったんだね。
 
 
 
その通りだ。
 
 
 
友人を実家に招いた食後に、
よく女友達が動いて皿を片付けていた。
 
 
 
母は恥ずかしそうに申し訳なさそうに
「尚志くんも自分でお皿片付けてお皿洗いなさい?」
と言っていた。
 
 
 
己は1mmも動かなかった。
体も、そして心もである。
 
 
 
己は冠なき王なるぞ。
 
 
 
周りに動いてもらうのが王の仕事だ。
 
 
 
後年、母がもらした。
 
 
 
「確かに私はあなたに、皿を片付けるとか言ったこともないけど、40も過ぎていい大人になれば洗い出すものだと思ってた。」
 
 
 
お母さん?
 
梅干しの種は40年埋めたって柿の芽は出ないんだよ? 
 
 
 
流しが洗い物でイッパイになったら己かて洗うよ。
掃除機は月に1回でいいじゃない。まとめて埃をとる快感!
 
 
 
「面倒くさい」ということが鍵である。
 
 
 
男のコはなにかと面倒くさがり、妙な「効率感」を生み出す。
「後でまとめてやればいいじゃん。」
 
 
 
己が出会った日本に来たベトナムの若者男性の半数が、爪を伸ばしているのがカッコいいという妙な信仰に殉じていた。
 
 
 
女子たちが「キモチワルイトオモイマス」と蔑み、
己先生も「なー?お前ら明日までに全部切れよ?」と言っていたが、
実は己はオマエラの出身であることは黙して秘する。
 
 
 
(わかる。わかるぞぉぉ)
 
 
 
そんな己の前述、生活改善である。
 
最近では更にひじき煮とポテトサラダ、れんこんきんぴらも習得中である。
 
 
 
いかな極東の下総国の奇跡であるかお分かりいだたけるだろうか。
 
 
 
この奇跡の要因は、彼女に育てられた、今までのやり方で破綻しているのだからやり方を変えるより他ないと思った、経済的に成功している人ほど生活もきちんとしているという自己啓発本を読んだ、居候に少しでもできることがあるとすれば、等が絡み合っているが、
 
 
また一人暮らしに戻れば、またサボる可能性は大いに大きい。
 
 
 
所詮、相手の目があるからやっているに過ぎない。
 
 
 
しかし、ストレスはなく、楽しんでやっていることは印象的な点である。
 
 
 
今までやらなかった者がやるとなったら、極端に振れることがある。
 
 
 
スキンケアも初めは朝昼晩3回やったし、掃除機も毎日、全ての家具を動かしてほこりを吸い上げた。
 
 
 
お前らサ、歯みがき歯みがき言うなら、
歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスをかけた上に液体歯みがき、電動の水流でみがく奴もかけて歯科医に月2回行けよコノヤロウ!!
と、意味のわからない恨みを発するのだ。
 
 
 
でもさ、
 
 
 
極端に極端な話、それすら、やっちゃったっていいじゃない。
 
 
 
手間だと言っても「どーせ、それだけのこと」なのですよ。
 
 
 
習慣化すればそれも手間だとは思わないし、
手間をかける事自体が人生の楽しみであり、美しさだと分かるのです。
 
 
 
そんなことを、日々是好日を観ながら思った。
 
 
 
文化って面倒くさいんだ。
 
 
 
面倒くさいことを楽しむのが文化なんだ。
 
 
 
ふくさの折り方を説明するシーンがあるが、これがメチャクチャ面倒くさい。
 
 
 
これを楽しむかどうかなのだろう。
 
 
 
劇中、登場人物たちも「なんで茶碗を回すんですか?」と聞いていた。
「なんで、って。そういうものなのよ。」
 
 
 
釈然としない。
 
 
 
うん。そういうものなのよ。
 
 
 
なぜこの作品評価が4つ星であるか、よく分かる。
 
 
 
その評価を読んでもいないが、大方、ストーリーがないとか、退屈とか、ふくさの折り方が実は違うとかそんな理由で星を落としているのだろう。
 
 
 
1年前の己なら、そちらに与して、
「くだらん時を過ごした」と言ってこの映画を両断していたであろう。
 
 
 
非常に美しい、誇るべき日本映画だった。
 
 
 
己は5つ星をもって評したい。
 
 
 
ぜひ、読者諸卿もリトマス的にこの映画を観ていただきたい。
 
 
 
文化って、人生って、面倒くさいものなんだね。
 
 
 
そして、面倒くさいといっても「どーせ、それだけのこと」。
無限に面倒くさいことなど存在しない。
 
 
 
※1タイトルは、「にちにちこれこうにち」と読む。読めなかった。禅の言葉であるそうな。